2020年ものづくり補助金に向けて
東京都墨田区の「ものづくり補助金」に強い中小企業診断士米倉です。
2019年12月3日時点では、来年度のものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の公募有無は確定しておりません。ですが、来年も開催される可能性があるものづくり補助金について、来年に向けた準備事項や審査上の注意点について書いてみたいと思います。本投稿により、来年ものづくり補助金の申請にチャレンジしたい方は、「今から何をすべきか」が理解できます。

目次
平成30年度2次公募からの変更点
平成30年度2次公募からは大きく以下の2点が変更となりました。
①「事業継続力強化計画」または「連携事業継続力強化計画」の認定取得における審査加点
②「ものづくり補助金電子申請システム」からの電子申請のみの受付(紙送付不可)
上記①については、経営力向上計画や先端設備等導入計画とは別に加点がされるようです。「事業継続力強化計画」については、令和元年7月に施行されたばかりの施策となりますので来年以降も加点措置が期待できます。
また、②の電子申請システムについては、従来の紙印刷・ファイリングが不要となりますので発送作業がだいぶ簡素化された形となります。また、電子申請システム上では、システムに直接文章を打ち込む方法とPDFファイルを添付(従来の雛型をベースとした記載方法)する方法のいずれかが選択できますので、自社に合った方法で申請書の作成が行えるようになっています。
審査項目のおさらい
ここで改めてものづくり補助金における審査項目のおさらいです。ものづくり補助金における審査項目は大きく4つあります。この4つの審査項目に記載されている事項に対して、しっかりと申請書に落とし込む(各加点措置については、事前に申請等の適用条件を満たしておく)必要があります。なお、ここの審査項目とは、直近で実施された平成30年度2次公募における審査項目となるため、今後変更となる可能性があります。
①技術面
技術面では、新製品・新技術・新サービスにおける【革新性】やサービス・試作品開発における【課題】の明確性、課題の【解決方法】の明確性および妥当性、補助事業実施のための【組織的体制】及び【技術的能力】の保有状況が審査されます。【革新性】について、この辺の定義はなかなか難しいですが、過去の採択事例から見ると「自社の市場において、競合等が取り組んでおらず」「自社における新しい技術の開発や新しい生産方式の導入」であれば、十分対象になりえると思います。
②事業化面
事業化面では、事業実施のための【体制(人材面、事務処理能力面)】が備わっているか、【最近の財務状況】や金融機関からの資金調達を含めた【資金繰り】が問題ないか、補助事業は【市場ニーズ】を考慮しているか、【ユーザー、マーケット及び市場規模】は明確か、補助事業は【価格的・性能的】優位性や収益性を有しているか、事業化に至る【遂行方法及びスケジュール】は妥当か、補助事業の【費用対効果】が高いかが審査されます。【費用対効果】については、3~5年計画で「付加価値額※1」年率3%、「経常利益※2」年率1%以上の向上を達成する必要があります。
※1.付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費 ※2.経常利益=営業利益ー営業外費用(支払利息・新株発行費等)
③政策面
政策面では、補助事業の事業化により、【他の企業のモデル】となる取組かどうか、【従業員の賃金上昇につながる】取組であるかどうか、【地域経済の発展】と【雇用増加】につながる取組であるかどうか、中小企業の競争力強化につながる【経営資源の蓄積】となる取組であるかどうかが審査されます。【経営資源の蓄積】については、補助事業の実施により、その事業者が以前から有する強みがさらに高度化されるような取組であるかどうかがポイントとなります。
④加点項目(加点措置)
加点項目については以下の通りとなります。
(1)先端設備等導入計画又は経営力向上計画、経営革新計画、地域経済牽引事業計画の承認を取得した場合(申請中)
(2)事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画の認定を取得した場合(申請中を含む)
(3)総賃金の1%賃上げ等に取り組む企業
(4)小規模企業者・小規模事業者であること(小規模型に応募した場合のみ加点)
(5)公募開始日1年前から応募申請日までの間に購入型クラウドファンディング等によって一定規模以上の支援金額を集めた企業
2020年のものづくり補助金はいつ頃実施されるか
2020年のものづくり補助金実施がまだ決まっていないため明確な事は言えませんが、今年のスケジュールに当てはめると1次公募は以下の期間となります。(今年から公募の締切について、1次締切と2次締切の2つの締切が指定されましたが、ここでは2次締切を基準としております)
公募期間2月中旬から5月上旬(ゴールデンウィーク明け)まで
また、実際の補助事業実施期間(発注・契約から納品・検収・支払までの期間)が7月下旬から12月末までとなります。
つまり、7月下旬から12月にかけて行われる設備投資がものづくり補助金の対象となるという感じです。
来年に向けた準備について
最後に来年に向けて今から準備できる事項(検討事項及び事前準備として)は以下の通りとなります。よろしければご参考にしてください。
①来年7月以降から年末にかけて設備投資の予定があるか。(発注から納品までその期間内で行う必要あり)
②その設備投資によりどの位の生産性向上を図ることができるか他人に説明できるものであるか。(申請書に具体的に記載する必要があります)
③経営力向上計画や先端設備等導入計画、事業継続力強化計画は提出済か。(設備の内容が決まり次第、事前に提出することをお勧めします)